工事も順調に進み少しづつ全貌が見えてきました。あと完成まで2週間。楽しみな毎日です。
それが終わるといよいよ待ちに待った夏山シーズン開始。たくさんの方が訪れ、賑わいが一気に増します。
しかし、年々増加しているのは山岳事故。今春もたくさんの事故が起こってしまいました。
起きてしまう事故。予防策、準備が完璧でも事故が無くなることはありません。
徳沢に戻り10年以上がたちますが、その間にも多くの体験をしてきました。悲しい涙も見ましたし、うれし涙もいっぱい見ました。
そして、その陰にはいつも山岳警察の方の姿がありました。
下界と違い、誰でもすぐに助けられる場所ではありません。助けるにも命を張っての救出になる場面ばかりです。自分のわがままで通報する人。救助を警察の当たり前の仕事だと思っている人。救助されているのにお客扱いされないと怒る人。救助される人もいい人ばかりでもありません。
実際の救助場面など、私のつたない文章では伝えきれない程、過酷で劣悪な状況です。担架で下ろすにしても人数はいりますし、時間も相当かかります。背負うにしても、汚い話になってしまいますが救助者の排泄物は垂れ流し。それを背負って下りるのです。
無事救助してもお礼も言わずにいる人さえいます。
涸沢で駐在し、穂高で人を助け、そのままヘリで蝶ヶ岳に移動。徳沢に下りてきて「一日ご苦労様。どうぞお茶でも飲んでいって」と声をかけても、「明日に備えて涸沢に戻ります」という。こんなことを毎日やっています。
いつも、山岳警察の方に会うときは、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
人もまばらな今日も警察の方が寄って行かれました。話を聞くと、通報があり山の中腹に人らしきものがあるというので捜索に来たそうです。結果、それは登山者が捨てたであろう大きなゴミで、木の切り株に引っかかり人影のように見えたものだったそうです。
「よかったです。ごみで」
と笑う姿をみて今日も大きな声で言いたくなりました。
「ありがとーーーーー」
山岳救助映画「岳」の小栗旬よりもかっこいい人たちです!!!