遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
初めて過ごす下界のお正月。私たちは若女将の実家である石川で年末年始を過ごしました。ゆっくりと流れる時間を愉しみつつ、どこかさみしいような感じもしました。
今年は昨年のような一気に積もるどか雪は今のところありませんが、断続的に雪が降ります。徳沢はどうなっているのか?パトロールを兼ねて先日徳沢に行ってきました。今年も冬山事故がたくさんありますので、安全第一に考え、徳沢ロッジを管轄している松本市山岳観光課の皆さんとスケジュールを合わせ徳沢を目指します。
上高地に入るといつもと変わらぬ雄大な穂高連峰がお出迎え。
木々に輝く霧氷とのコントラストが幻想的です。お天気も良くスノーシューを履き徳沢を目指します。小梨平より先は誰も入っている気配もなく、深雪をかき分けラッセル歩行が続きます。慣れないスノーシューで大股歩行。さらに深雪を進みますので足に負担がかかります。私は徳澤園の若旦那。一緒に同行してくれた皆さんの手前、弱音を吐くわけにはいきません。ただし、この無理が最終的に悲劇を生むことに・・・・。
夏であれば上高地から明神までは50分程度。ただし、今回は1時間ほどかかりました。
そして、明神を過ぎると一気に雪が深くなります。
これは、普段シーズン中に使っている道です。但し、この時期は、山沿いから何度も雪崩が起きますので、上を見ながら雪崩後を歩くしかありません。何度も諦めかけましたし、諦める理由も並べましたが、一緒に行った超ポジティブ志向の徳沢ロッジ古畑支配人。「大丈夫!元気出していきましょう!!」の掛け声でかき消されます・・・。というか、この人に諦めさせる方が体力を使いそうなので徳沢を目指しました・・・。明神を出て1時間30分。ようやく徳沢に到着です。
例年よりも若干雪が多く、キャンプ場にもキャンプをしていた形跡はありません。館内のチェックをしようと思いましたが、入り口はこのありさま。
ほとんど埋まっていまして、入ることはできませんでした。ただ、実際に建物の無事を確認すると安心するものです。徳沢ロッジ、公衆トイレ、そして徳澤園も変わった様子もなく静寂な時間が流れていました。
厳冬の上高地。素晴らしさは天下一品ですが、やはり極寒。少しでも判断を間違えると死が待つ世界です。春までもう少し頑張ってと心の中でささやき下山してきました。
レポート 若旦那
下山
久々の運動。慣れないスノーシュー。重たい荷物。正月太りした体。弱音を吐けないプレッシャー。同行したポジティブ男。様々な悪条件が重なり下山を始めてすぐに私の体に異変が・・・・。膝が全く動かなくなりました。騙し騙し歩いていたのですが、一歩づつしか前に進みません。救急車を呼べるところでもないですし、山小屋の主が遭難したなんてことになったら大変です。同行した山岳観光課の皆さんに荷物をもってもらい、ポジティブな掛け声をかけて頂きながら、4時間以上かけて下山してきました・・・。焦りましたし、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。私のような地元民でも遭難する危険があるということを再認識させられました。
山岳観光課の皆さんありがとうございました。
その他
徳沢ロッジ古畑支配人とは大の仲良しです。いつも元気をもらいます。いつもアンテナを張って上高地の素晴らしさを探しています。今回も私の膝が動かなくなり、もしかしたらやばいかもしれないと焦っている最中・・・・。
古 「専務!!」
私 もしかして下山する何かいい方法を考えてくれたのか・・・?
古 「見て!!」
古 「ムササビがダイブして雪形が残ってる。珍しいよ!!」
私 その前に、この絵を皆さんに無事お伝えできるかどうかくらい深刻だから・・・・。
今年も和気あいあいとした徳沢になりそうです。