夏の忙しいシーズンが終わり、秋の紅葉シーズンが始まるまでの少し静かになった9月上旬。 山に行きたい!!!という気持ちが高まり、今年も山好きスタッフたちと計画し、登山隊を結成しました。今年の目標は何といっても「前穂高岳山頂から徳澤園を見下ろす!」です。毎日毎日目の前のキャンプ場から見上げる前穂の頂上に立ってみることは、他のどの山の頂上とも違う達成感があるに違いありませんから・・。
同じ志をもった今回のメンバーは2年目のまみちゃん、あさちゃん。彼女たちはチームトクサワエンとしてあの乗鞍天空マラソンを一緒に完走した仲間でもあります。そして唯一の男子メンバー、当園スタッフの中でも最長身で最年長のはじめちゃん、そして私、の4人となりました。チーム名は「へっぽこ登山隊」ですが、奥穂、前穂、そしてあわよくば北穂の穂高大縦走1泊2日という壮大な計画をたて、頂上であれしよう、これしよう、あれ持っていこうなどなど出発前からかなり騒々しい私たちです・・。
そして出発当日。せまっていた台風も、私たちの気迫でどこかに飛んで行き、くもりの予報が、超快晴!まずは涸沢めざして出発です。途中充実の大休憩タイムをはさみながらも涸沢ヒュッテに到着!!と、これまた絶妙なタイミングでヒュッテの皆さんのお茶の時間にかぶり、図々しくもご一緒させていただくことに。ここでもまたまた大休止となりました。ヒュッテの皆さん、おいしいカルピスごちそうさまでした!
天気もいいし、気分もいいし、ということで、一行は北穂にあがり、穂高岳山荘までの縦走にいきなりチャレンジすることに決め、涸沢ヒュッテを勢いよく出発しました。・・がその数分後、涸沢小屋にも辿りつかないほどの距離しか歩いてないところで、最長身、最年長のはじめちゃんがいきなりストップ。
はじめちゃん 「あ、足が・・・。おかしいなぁ?・・・。つったみたい・・。」
一同 「えっ?まだ北穂の登山口にもたどりついてないのに?どっちの足がつったの?」
はじめちゃん 「両足・・・。」
一同 「絶句」
このまま無念の、そして想像もしなかった涸沢小屋泊となるのか?? いや、女子だけでも上に行こう!でも心身ともに弱ったはじめちゃんだけここに置いていっていいのか? などなど様々な思いが交錯しながらもうなだれているはじめちゃんを見守っていると、奇跡的にはじめちゃんの両足がまた動き始めたのです!やはりみんなで前穂の頂上を踏みたい! そんな熱い思いがはじめちゃんの足にも伝わったに違いありません。(ほんとに?)
再故障の危険人物をかかえ、ほんとに「へっぽこ」となった登山隊ですが、ザイテングラードを経て、ようやく穂高岳山荘に到着しました。
山荘ではオーナーの今田氏に色々見学させてもらったり、お酒をごちそうになったりとお世話していただき、足がつった事件などすっかり忘れて山の上での一夜を満喫したのでした。今田社長、今度は徳沢にも遊びに来て下さいね!ぜひ、お待ちしています。
翌朝はまたまた快晴。奥穂、そして前穂の登頂にはもってこいのお天気です。
まずは奥穂山頂へ。超狭い山頂に無理やり4人で登り、記念撮影です。
(高所恐怖症の私は顔がひきつってますが・・・)
そしていよいよ前穂を目指し、吊尾根を縦走します。もちろんおやつ休憩をはさみつつ・・・。紀美子平にザックを置き、山頂にアタックです!途中、コーヒーを飲むためのカップを忘れ、とりにおりるなどのハプニングもありましたが、無事全員前穂山頂に到着! ここまでの疲れも忘れ、上高地から徳沢、奥又白池、横尾まで360度の絶景に感動、本当に絶句です!!!
念願の徳澤園を見下ろし、聞こえないけどみんなに向かって色々叫び、山頂コーヒー前穂スペシャルを淹れ、静かな前穂山頂でおおいに騒いだ私たちでした。
目標を達成し、脱力感におそわれた私たちを待っていたのは、重太郎新道という下山道の長く続く険しい道のり・・・。 行きはよいよい、帰りは恐い・・・。気持も完全に切れてしまった私たちは、口数も少なく、ただただひたすら想像以上にハードなこの道を最後の力を振り絞っておりてきたのでした。
翌朝、徳沢キャンプ場から見上げた前穂がいつもと違って見えたのは言うまでもありません。 だってきのうの今頃はあのてっぺんにいたんですから・・・。
前穂さん、お天気にしてくれてありがとう。はじめちゃんの足を動かしてくれてありがとう。全員無事に登頂、下山させてくれてありがとう。
感動をありがとう。
レポート若女将