徳沢はすっかり夏から秋に様変わりしています。
登山者の数も減り、朝晩の気温も10度を下回り、1枚ダウンジャケットを羽織って丁度いい気温です。
忙しかった夏を乗越え成長したスタッフは、秋の準備に取り掛かります。
夏の、人と時間に追われる仕事と違い、地味でのんびりした仕事が続きます。
まず、女子は溜まった寝具類の洗濯や個室に提供しているアメニティーのセット。
裏の窓磨きや、食材倉庫の整理など・・・
忙しかったときにできなかった細かい作業が始まります。
男子は、レンタルテントの撤収。
そして、これからは館内にある暖炉で焚く薪の整理が中心となっていきます。
便利な時代ですので、石油ストーブの方が、薪ストーブよりも効率的ですし、手入れも楽です。
また、原油高とはいえ、経済的にも石油ストーブの方が安いのですが、折角こんな山の中に来て頂いたのだから、石油ストーブでは味気ないということで、要所要所では暖炉を昔から使っています。
実際に火を見ると、珍しいのか?それとも懐かしいのか?薪は、いつもお客様に質問されます。
当園の薪は2種類あります。
一つは、上高地内で流木となった木を、お役所に売ってもらい、それを、一つ一つ斧で薪割りをして作ったもの。
よく、お客様にいっぱい木が落ちているから、薪には困らないね!と言われますが、ここは国立公園内。
落ちている葉っぱ。石ころ。すべての採取は禁止されています。
従って、落ちているからといって勝手に持ってくる訳にはいかず、河川で、河の流れを邪魔している流木をお金を払って買っているわけです。
それを、チェーンソーで適度な長さに切り、そして斧を使って割る。
時間もかかるし、体力的にも大変です。
木の種類も質問されます。
基本的に薪には、広葉樹の木を使います。
ここでは、桜や白樺などの木が主流です。
もう一種類は、下界から買った楢の木です。
やはり、楢の木は火力が、他の木とは違います。
火持ちも、桜や白樺に比べ3倍ほど長くなります。
広い食堂や寒いときには重宝します。
都会では、火を見る機会はほとんどありません。
でも、やっぱり直火の熱は、やわらかい温かさであり、癒されるものです。
そろそろ、今年も薪の季節がやってきました。
レポート 若旦那