久しぶりに携帯のアルバムを見たら懐かしい写真がたくさん出てきました。
コロナ騒動が始まった2020年春。
未知のウィルスとの遭遇。たくさんの困難との戦いでした。あのときは、どうしたら山小屋は生き残れるのかを必死で考え、不安を打ち消すように動いていました。振り返ると涙がでます…。
でも、今よくよく見ると笑えることも多く、最近更新が遅れていますので、あのとき私たちは何をして、何を考えていたのか振り返ってみようかと思います。
2019年大晦日
中国で未知のウィルスが流行しつつあるとの一部報道。しかし、まだ誰も深刻に受け止めず、私に至っては、念願だった渋谷スクランブル交差点で新年を迎える…。ヒカキンも登場し推定19万人だったらしいです…
2020年3月
いよいよコロナが日本での感染も確認され各所対応に追われ始める。
実は3月13日。徳澤園の135周年記念式典が予定されていて内容、引出物等も完璧な状態。
会長が書き上げた135年の歴史書もこの日に間に合うように製本されていた。
この頃から政府が、閉め切った空間での飲食、大人数での会食は控えるように通達。
招待客250名。開催一週間前にまさかの…
中止となり落ち込む会長を横目にシーズンに向けての準備が始まる。
2020年4月7日
緊急事態宣言発令。
すみません。
これってなんですか?
営業とかってしていいんですか?
誰に聞いても答えてくれません。
不安を抱えたまま。
2020年4月下旬
新人は自宅待機。コアスタッフだけで入山。スタッフが考えてくれたコロナ対策。本当にありがたい。けどマニュアル通りに行動すると、朝起きて出社する迄に30分くらいかかる…。
全員が不安を抱えたままオープン準備。昨年頼んでしまった売店商品やオープンに向けた食材などどんどん届く。オープン出来なかったらどうするんだろう…。
日本中がマスク、消毒液の不安に陥る。そんな時にあるプレゼントが。
会社を経営している私の友達が直ぐには使わないので、せめてスタッフと泊まりに来てくれたお客さんに配って欲しいと、会社にストックしてあったマスクとアルコールティッシュをオープンに間に合うように送ってくれた。感謝しかない。
2020年4月25日
ただでさえ出来るかどうか不安の中…。追い討ちをかけるように、上高地群発地震が始まる…。
地震が以前にもあった群発地震と判明し、ここで心折れる…。悔しさと虚しさの中、7月迄の休業を決定。
上高地全施設、そして上高地への輸送手段も休業を決定。度々、上高地経営者の会議は開かれるが全く進展なし。どの顔も不安に満ち溢れる。
お客様からの励ましの手紙や電話も多く頂戴する。休業を決め、自宅待機するスタッフの為にも何か出来ることないかを考え、密かにやっていたお土産のWEB販売を始めてみる。あまり期待していなかったにも関わらず…
とんでもない反応!久しぶりに人の温かさやお客様と離れていた距離が縮まった気がする。本当に多くのファンに愛されて幸せな気分になる。やる事のないスタッフたちも嬉しい悲鳴!
すぐに調子に乗る性格のわたし…。三密を避けてくださいと日々テレビで呼びかける中…。アカシア蜂蜜、春の花蜂蜜、藤の花蜂蜜を採取してきてセットにして試しに商品にしてみる…。
炎上したら直ぐにやめようと恐る恐る出してみたところ、まさかの200セット完売。シャレのわかるお客様に感謝(笑)
グリーンシーズンの美しい季節の中。誰もいない上高地閉鎖は3ヶ月も続く。閉鎖的な世の中で1人だけ夢を叶えた男が…。子供も巣立ち、マイホームも手に入れ、後の人生は山の中でと夢をもっていた宮さん。誰もいない山の中で暮らせたら最高やなーと言っていたことが現実に。全員下山させたが、万が一の為に1人くらい残って留守番を置かなければと思っていた私と宮さんの夢が一致。まさかの、グリーンシーズン。大人気上高地北アルプスを独り占め生活が始まる。
時々登ってくるスタッフたちも食事は誰もいないキャンプ場。毎日頭を抱えどうしようかと悩む私。送られてくる楽しそうな写真を見てイライラ募る…笑
交通機関が閉鎖されても徳本峠を越えてくる人いるかと思い留守番を置いたが、結局3ヶ月で訪れたお客様は4名…。
もしかしたらこのまま無職になってしまう。せめて2人の子供たちだけは、きちんとした生活をと心に決め、節約生活を始めようかと思った矢先、巣篭もり生活に耐えかねた子供たちが犬を飼う…。生活費増。最悪なタイミングで家族が増える…。
日中は外出を控え、夜中に耐えかねて散歩をし、祈念するため松本市内にある寺、神社を周る日々。どこの店舗も休業ばかり。閉鎖的な世の中。ただ、このようなシャレの効いた張り紙に心を癒される。みんなで頑張らねば!
2020年7月中旬
ようやく少しずつ落ち着きを取り戻し、7月中旬より営業再開を決定。待ちくたびれたスタッフたちもやる気に満ちている。営業に向け準備を整えていざ入山!の予定が…まさかの
記録的豪雨が上高地を襲う。上高地に通じる158号線はこの有様。
もちろん、上高地から徳沢迄の車道は崖崩れで通行出来ず、まさかの歩いて入山。今年もう無理かも…。
荷物も歩荷。
業者さんも雨の中徒歩。
徳沢手前の小川も氾濫。見兼ねた徳沢ロッジの支配人が重機をもって迎えに来てくれる
雨もおさまりどうにか準備が始まる。真新しいパーテーションに外に作った新しいフロント。ようやく揃ったスタッフたち。
そして3ヶ月遅れで迎えたオープン初日。待ちに待ったお客様を心から歓迎しようと気合も入る。ここまでの道のりを考えると涙が込み上げる。
さぁお客様!総勢22名のスタッフも揃い待ちに待った初日…。
大きく豪雨を報道されていた為、まさかの宿泊客2名。込み上げた涙が違う意味で流れてくる…。ここは待ち侘びた溢れんばかりのお客様でしょ…この先不安しか無い。笑。
今でこそ笑って話せるようになりました。その時その時は感情むき出しで、出来ること縋れることは全てやっていました。立ち止まることが性に合わない性格との衝突の日々。
でもいつもお客様に支えられ、スタッフに励まされ、友達に助けてもらいました。
まだまだ油断ならないコロナですが、ここまで苦しめられたのでこれ以上の事は起こらないと思っています。