上高地は梓川を中心に左岸と右岸に施設が点在し、上高地では河童橋、明神では明神橋、横尾は横尾大橋という立派な橋があり、左岸右岸を横断出来る様になっています。
徳沢地区には、徳沢より横尾方面に15分程行くと一つの吊橋が現れます。河童橋や明神橋のような華やかなイメージも無く、一人通ることがやっとの吊橋。それが新村橋です。
新村橋を渡っても施設はなく、その先の登山道は、奥又白池若しくは、夏だけ通れる涸沢に続くパノラマコースのみとなってまして、一般の方もなかなか使用する機会の少ない橋です。
そんな地味な存在の橋ですが、私たちにとってはとても重要な役割があります。
梅雨、夏に毎年訪れる大雨。その度に、梓川の中を通る運搬用道路は流されます。その都度、行政の方の協力の元、復旧されるのですが、復旧には1ヶ月程度かかる時もあります。
復旧されるまでは、徳沢は陸の孤島となり、唯一の運搬手段が、一輪車を使い人力で新村橋を渡る。
もちろん、お天気にも左右されますし、ダンボールに収まっている物はまだいいのですが、シーツなどのリネン類。灯油などの液体類。プロパンガス。ゴミなど、ライフラインに関わる全てのものを運ばなければなりません。
また、もっと大変なのは、バキュームカーが入って来れないこと…。
大きなものは明神、もしくは横尾までとは言えませんのでお客様に念力を送ることくらいしかできません…。
そして、最大の困難は救急車も入って来れないこと。何度か行ったこともありますが、病人、怪我人が出た場合も、新村橋だけは梓川に落とさないよう背負って行くしかありません。
天候不順や異常気象の大雨が多い昨今。緊急車両が通れる新村橋の建設を徳沢地区として長年懇願していました。
そして、念願叶い松本市で新村橋架け替えをしてもらえることになりました。
全長84メートル。工事期間5年。総事業20億円というビッグプロジェクトです。
完成は令和9年となります。
まだまだコロナ禍が続き、厳しい観光業界ではありますが、上高地の新しい観光名所にもなり得る明るいニュースに希望の光を見た様な気がします。
追記
莫大な費用がかかるため、財源の一部として、企業、個人からの寄付を松本市で募っております。
先日、第一号として、横尾山荘の山田社長と共に、松本市長にお時間を頂き寄付をさせて頂きました。