上高地のイメージの一つにいつも混み合っているのを想像される方も多いと思います。半年の期間しか入ることができない場所。人気の観光地。創られていない自然など多くの方を夢中にさせるこの聖域では、人も自然の一部であることを印象付けているように思います。(事実、200日の営業期間に昨年は150万人の方が訪れています。)
日中、河童橋に人がいないのって見たことありますか?
上高地バスターミナルにバスが止まっていないのを見たことありますか?
10年ほど前になりますが、上高地群発地震がありました。その時は、約2週間の通行止めとなりましたが、今回はそれに次ぐ長さの通行止めとなっています。この期間中、一般のお客様を目にしたのは、1組だけです。どうしても上高地に来たくて、徳本峠を越えて上高地に入ってきたそうです。
人がいないと普段気にもしなかったことも色々わかります。今回一番印象に残ったのは音です。前回、静寂という題名でみちくさを書きましたが、上高地はどこにも静寂な場所はありませんでした。地響きのような逞しい梓川の水の音が聞こえます。それに、混じって風が葉を揺らすやさしい音。木がきしむ鈍い音。鳥の歌声。などなど、色々の種類の音なのに、なぜか混じり合って癒しのハーモニーに聞こえます。ぜひ、今度上高地にお越しの際には、だれもいない森の中で耳を澄ませてみて下さい。
レポート 若旦那