本来であれば4月に皆様にご挨拶申し上げなくてはならなかったのですが、私若旦那という役職から代表取締役という肩書に変わりました…。
17年前になりますが、若女将を連れ上高地に戻って参りました。
東京で過ごしていた2人でしたので、商用電気も通っていない山の中に嫁がせるのにはどう説明したらいいのか悩んだ挙句、一切説明をしないで連れてくるという戦法に出ました。
典型的な明治生まれの祖父に可愛がられた私は、一家の長男が継ぐことこそが我が家の使命という教育を受け、私自身はなんの迷いもなくそれを受け入れて戻りました。
希望に満ちた20代。
お客様の求めてるもの。ここで出来ること。ここではやっていけないこと。そんな分別がつくようになってがむしゃらに実行しまくった30代。
それなりに成長し、抱えるスタッフも多くなり、上高地、北アルプス全体が見えてきだしたこのタイミングで父から今年の4月1日に譲り受けました。
本来であれば、皆さまはじめ、スタッフ達にもこんな宿にしたい。こんな国立公園にしたいと声高々に宣言する予定でしたが、ご存知コロナという前代未聞の事態が起こりました。
何をどうしたらいいのか分からず始まった社長一年目。夢も語れず、見えない敵に挑む。夢を見させてあげなければならないスタッフ達も不安だったことでしょう。
カッコよく登場し、大きな夢を語る予定でしたが、4月1日にスタッフたちには、3つの約束だけ致しました。
①雇用の継続
②企業の存続
③コロナに感染しない、させない。
今年はこの3つだけは守るということを話しました。
本当に短いシーズンでした。ただ、とっても濃いシーズンでした。
ソーシャルディスタンスを取れば取るほど人の優しさや暖かさを感じることがわかりました。
3つの約束も守れました。
本日、私の右大臣左大臣のY子と栗を残してスタッフたちが下山して行きました。
そして、いつもの大工軍団が入山して小屋閉まいが始まりました。
少しづつ今シーズンが終わっていく安心からか、この半年で一番笑うことができました。
来年は、コロナと向き合いながら、新しいことにもチャレンジしようと思っています。
ちゃんと浪漫を語れる社長になる予定ですが、小屋閉めが終わりましたらきちんとご挨拶致します。
皆様今シーズンもありがとうございました。