毎日たくさんのお客様で賑わっている夏山です。天気予報は常にあまりよくないのですが、現地はそれなりにいいお天気が続いています。
今日もバタバタとしていると、韓国の方らしきお客様が。
「タヌキカワイソウダヨ。」
「???。天気。変わりそうだよ???」
よくよく聞いてみると、「タヌキ。かわいそうだよ」
とおっしゃっています。
キャンプ場に連れていかれ指を指した先に一匹の弱ったタヌキらしき動物がいました。
近づいても逃げようともせずうずくまったまま。よくよく見てみるとアナグマでした。
ただ、口の辺りに大きな傷がありかなり炎症しています。私の後ろでは先程の韓国の方が
「ドウニカシテヨ。カワイソウダヨ」
どうにかしてあげたいけど、どうしようもない…
アナグマの体には、死の臭いを嗅ぎ付けたのかたくさんのハエがたかっています。
ここは、ナショナルパークで動物も植物もありのままの姿を見守るのが人間の許された形なのだと説明し納得してもらいました。
ここに暮らしていますが、動物の死体を見たことがありません。恐らくそっと森の中で息耐えているのでしょう。
それは、餌になる場合もあるし、寿命でその時が来ることもあると思います。いずれにせよ全て自然のサイクルで必要な死。そして、その時は誰にも迷惑もかけずそっと自然に帰る。
このアナグマは、もういないかもしれません。でも、先程のハエはそれを餌とし、森はこのアナグマから栄養を貰ったはずです。
最近、世界でも日本でも信じがたい事件ばかり起きています。明らかに自然のサイクルに反したものばかりです。
人間も動物。このアナグマのように、自然のサイクルで一生を全うし、死しても後世の役にたつ。これこそが本当の幸せで、動物らしい一生なんだということもアナグマは私に教えてくれました。