みちくさブログ

穂高岳山荘

夏の忙しさもひと段落し静かな徳沢です。そこで、数年ぶりに登山というスポーツをしてみようと思いました。

シーズン中ほとんど休みは取れず、たまの休みには、松本に下っていました。

「山に行かないんですか?」

と聞かれたら、

「あのね。俺はここで生まれ育ったの。あなたが、休みの時にわざわざ地元に遊びに行く?」

と屁理屈をこねてまいりましたが、昨年の最高到達点が横尾山荘という情けない現実を打破しようと、穂高に行ってきました。

結果から申し上げますと、行くには行ったのですが、行きも帰りも大雨・・・。すぐに諦めるという特技を持つ、今時珍しい潔い男の私ですが、今回の周りのプレッシャーは凄かった・・・。行かなければ、スタッフに何を言われるかわかりません。

涸沢を経由し、穂高岳山荘へ。歩いている間、常に霧に覆われ、一度も穂高の雄姿を見ることはありませんでした。

徳沢を出発し5時間。穂高岳山荘に到着です。

さて、穂高岳山荘を目指した理由。それは、オーナーである、生きる伝説今田英雄さんにお会いすることでした。今田さんとは、今までなかなかお会いすることが出来ず、いつかちゃんとご挨拶をし、お話したいと思っていました。ただ、穂高を牛耳るお方。お会いする前の緊張も半端ありません。

お忙しいので、ご挨拶だけで・・・。と思いましたが。

「雨降っていますが、ちょっと山荘の周りをご案内いたします」

という優しいお言葉。ご自慢の山荘周辺をオーナー自ら案内してもらいました。

余談が増えましたが、穂高岳山荘の凄さは標高だけではありません。まずは、ザイテンを登り切って突如現れる、山荘前の石畳と石垣。お世辞ではなく、こんな綺麗な石畳は見たことがありません。しかも、職人を入れているわけでなく、全て今田さんを中心としたスタッフが、そこにある岩だけを使い作りあげたものです。

そして、限られた燃料の中で、多くの人を泊めなければなりません。ヘリの回数を増やし、どんどん荷揚げすれば、宿泊代金にも影響してきます。そこで、今田さんが考えられたこと。それは、標高3000メートルの山頂でエネルギーを自足すること。風力はもちろん、火力などを利用し、全て電気に変えています。その、証拠に山荘周辺には、ドラム缶がありません。もちろん、これも自前です。

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水も、お湯に変えるには、出来るだけ温度を上げた方が効率がいい。従って、ひいてきた水を何度も陽に当てて使っていました。

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エコの究極です。

もちろんその陰では、今田さんの知識力。そして、血のにじむような苦労があります。

だって、業者など来てくれない、3000メートルの世界ですよ。頼るのは自分か、血を分けあった山荘スタッフだけです。

その後、特別な人しか入れてもらえない、今田さん専用のお部屋で、お酒を交え、山岳救助の話。入山税の考え。山荘をどう切り盛りしているのか。苦労話など、沢山お話を聞かせてもらいました。

最初は、怖がって何をお話していいものなのか戸惑っていましたが、今田さんの一言一言が、穂高を支え、多くの命を救い、今の穂高がある。興味が尽きることはありませんでした。時計を見れば、なんと6時間。今田イズムを注魂されました。

全くお酒の飲めない私。飛騨の山男は強かった。テーブルの周りには、空いたお酒のプラスチック容器で溢れていました。今田さん、その容器を見て最後に一言。「よしっ。これを使って明日風呂を沸かそう!!」絶対にこの人のバイタリティーには勝てないと思いました・・・・。

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今田さんのお話の中にいつもこの言葉が出てきます。「俺の夢は・・・。」

自分を含め若い世代が具体的な夢を語りません。しかし、70歳を超えられた方の口からは、具体的な夢が沢山出てきます。今年一番の刺激と、山男のカッコよさをこれでもかってくらいに感じました。

レポート 若旦那

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