恒例の秋の3連休が終わりました。夏の長雨、3連休の晴天、映画「岳」、10月上旬のNHKの涸沢中継とこれでもかというくらい条件が揃った今回の3連休。2年前のシルバーウィークを体験しているのでどれだけ忙しいかは想像していましたが、今回は想像を超えました。
朝6時にバスで上高地についたお客様が、8時前後に当園前を通過します。これは、毎年のことで、私はよく道が見えないくらい人が通ったと表現します。しかし、今回は例年ないことが・・・・。いつもであれば10時くらいには少し落ち着くのですが、今年は昼過ぎまでその行列が続きます。私は、いつもと状況が違うと直ぐに横尾山荘の社長に電話します。
徳「毎年こんなに人が来ていましたっけ???」
横「いや。すでに公衆トイレの大行列ができて、山荘前まで並んでいるよ」
やっぱりこの状況を横尾さんも察していました。横尾の社長さんの判断は、私のバロメーターですので、横尾さんが動揺するとその3倍私は動揺します。
結局1日中人の列は絶えること無く、皆一様に涸沢を目指していました。
その日の夜、当園社長が涸沢ヒュッテの社長に電話を入れ状況を聞きました。
涸「いや?。俺ここで40年以上暮らしているけどこんなに人が来たの初めてだよ。テント張る場所がないんだもん!!」
噂によると、テントの数だけで700張以上あったとされています。勿論、涸沢ヒュッテ・涸沢小屋にはそれ以上の方が泊られている訳で・・・・。どんだけ山の中に人がいるのか。
さて、当園の戦いはここから始まります。この時期、涸沢の大紅葉を支える脇役の当園ですが、一つだけ重要な役割があります。それは、翌日から下山される方の胃袋を満たすこと。涸沢を朝出発すると昼前後に徳沢に着きます。勿論、皆さん腹ぺこ状態で下山される訳で・・・。ここで、「はい売切れました!!」とは絶対に言えません。この状況を見て、弟は朝から一日中カレーを作りだしました。勿論、その日の宿泊のお客様もたくさんいる訳で、明日の為に作り終わったのは深夜過ぎ。
そして、下山のご褒美のソフトクリームも切らす訳にはいきません。明日の戦いに備え、夜遅くまでソフトクリームマシーンの掃除とメンテナンスを行いました。受注生産のソフトミックスメーカーには日本中探してでもミックスを切らさないように探してくれと電話を入れました。
朝から、どんどん人が下山してきます。あっという間に喫茶は人で溢れ、注文が飛び交います。経営者としたら喜ばしいことですが、私にとってはものすごいプレッシャーです。
「カレーはあるけど、お米切れたらどうしよう・・・」
「この状況で、ソフトマシーンが壊れたら何百人に頭下げなきゃいけないんだろ・・・。」
人は、疲れてお腹がすくとイライラするので些細なことでもトラブルになります。何年か前に出す順番を間違えて、お金を投げつけられたこともありますので、品物が出て笑顔になるまではいつもドキドキです。一日中喫茶は大混雑。ソフト係のスタッフは、一日中ソフトをまき続けました。レジのスタッフは、「そ」という言葉を聞いただけで、「400円です」と答えるようになりました。カレー皿も薄くなりそうなくらい洗いました。
徳沢にとって史上最大の大混雑。スタッフもほとんど休みを取らずに頑張ってくれました。
一夜明けて。連休明けの11日。ようやく、普段の徳沢に戻りました。あれだけいた人は、どこに行ってしまったんでしょう?緊急的にお願いしたソフトミックスも緊急的に返品したくなってきました。
でも、大きな事故、トラブルも無く、無事に終わってほっとしています。これからは、静かな奥上高地の紅葉が始まります。
レポート 若旦那