みちくさブログ

日本男児

昨年の女子部に続き、J学園の中学男子部全校の学校登山が7月8日、9日とありました。

<7月7日>

 前回も書きましたが、今年の梅雨は本当に雨が少ない。むしろ、晴れが続きました。しかし、なぜなぜなぜ、7日午後から天気が下り坂です。人もほとんど来ない時にあれだけ晴れておいて・・・・。嫌な予感です。夜、雨脚が強くなってきました。明日が心配で眠れません。結局、うさぎのような心臓しか持ち合わせない私は、夜中2時以降全く眠れず朝を迎えました。

<8日>

 やっぱり雨です。今日の行程は、12時上高地着であとは当園までの歩きのみです。うさぎのような心臓しか持ち合わせていない私は居てもたってもいられず、上高地バスターミナルまで迎えに行くことにしました。子供達に山を好きになってもらう第一条件。

“初めて来た際に天気がいいこと!!”

それを考えると、子供達を見るのが怖くてなりません。

やがて、子供達のバスがやってきました。総勢100名を超える団体です。 

「雨サイコー」

「冷たくてきもちー」

そんな元気のいい声が聞こえてきたとき、初めて子供達の顔を見ることができました。

 

雨脚も弱まり、当園まで到着です。久しぶりに徳沢に活気が戻りました。

090713-1

こちらの学校は、計画から実施まですべて生徒が中心となります。下見の打合せから、ほとんど先生とは打合せは行いません。数年前、初めて利用して頂いた際は、正直不安でしたが、責任を持った生徒たちは、一文一句メモを取り、不安はすべて口にしてくれます。今では、大人と打合せをするよりも密度の濃い打合せができます。また、生徒は厳しい寮生活をしており、食事の片づけからトイレの掃除まですべて自分たちで行うそうです。洗濯に至っては、初めの一年間は洗濯板のみだそうです・・・・。この時代で、みんな丸坊主です。

従って、チェックインもスムーズです。我々スタッフも100名の団体。しかも雨ということで、レインコートを脱がし、濡れているザックを拭かなくてはなりません。しかし、玄関には係りの生徒たちの声が響きます。

「濡れたザックは絶対、畳の上に置くなよ」

「はい(全員)」

「おい。まだザック濡れているだろ。やり直し(三年生)」

「はい(一年生)」

大人の団体ではこういう訳にはいきません・・・

勿論、部屋では部屋の上級生が面倒を見ます。

3年生「扉の敷居を踏むんじゃねえ」

若旦那「すみません」

私が扉の敷居を踏んでおりました。私が居ない方がどうやらスムーズなようです。安心な上級生に任し、私は明日の天気だけを心配すればよさそうです。

<9日>

 うさぎのような心臓しか持ち合わせていない私は4時に起床。やっぱり雨です。5時には、眠い目をこすりながら生徒たちも起きてきました。生徒たちは、どんな状況でも蝶ヶ岳に絶対登ってやろうという熱気でムンムンです。心配な我々を他所に朝7時、蝶ヶ岳に向けて出発していきました。先生とは、無理をせず途中で引き返すようお約束をしました。宿では、学園の話題で持ちきりです。久々に見た、丸坊主の規律正しい日本男児。侍のような礼儀正しさ。中学生相手に本当に恋をしそうな気配です・・・・。

 雨脚も降ったり止んだりを繰り返しています。午後3時。山の上から元気のいい声が聞こえてきました。

「先頭到着(リーダー)」

「はい(全員)」

 それを聞いた瞬間すべての力が抜けました。この悪天候の中、細心の注意を払い、蝶ヶ岳まで行ってきたようです。よく見ると1年生なんかは、自分より大きな荷物を持っています。一人も挫折した生徒はいません。勿論、全身ずぶ濡れです。登山を成功した3年生の逞しい顔。弱さと強さの入り混じった2年生。自分の力をすべて出し切り、弱音を吐かなかった1年生。子供達が笑えば笑っただけ、こちらは涙を我慢するので精一杯です。

 後は、濡れた生徒が風邪をひかないように、精一杯サポートさせて頂きました。あまりに濡れた生徒には浴衣の貸出です。早くお風呂に入って欲しい気持ちで、いつもは気になる、服の多少の汚れは気にしません。

090713-3

逞しい生徒に勇気をもらい、うさぎのような私の心臓もカモシカ位になりました。

<J学園の皆さんへ>

 最終日のミーティング。あのこと(J学園の皆さんと私だけの秘密)で、私に充てられたお話の時間がありませんでした。100名を前にお話をするとあって、嬉しかった気持もありましたが・・・・。しかし、これだけは言っておきたいと思いました。

 皆さんは、普通に上級生が下級生の面倒を見ています。しかし、今の世の中、学校であっても仕事場でも、兄弟のように親身になって面倒を見てくれる上下関係はほとんどありません。私が、濡れた雨具を館内に持ち込んでいた1年生に注意した時、直に近くの3年生が寄って来て、「すみません。よく注意しておきます。」と言われました。中で生活している皆さんにとっては当たり前のことだとは思いますが、私にとってはすごく新鮮でした。これが、J学園の伝統だと思いました。ぜひ、大切にして下さい。

レポート 若旦那

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