先日、信州大学で上高地談話会というシンポジウムが開催されました。
これは、今現在の上高地。
そして、これからの上高地の将来を考える官民一体のシンポジウムで、信州大学山岳科学総合研究所主催で年に数回行われます。
参加者は、上高地の旅館・ホテル経営者・山小屋経営者は勿論、環境省・林野庁・役所などの行政から、一般市民、そして全国の上高地ファンなどなかなか一同に集まる希少な機会です。
今回も70名程の方が集まりました。
毎回、テーマを決め講演と質疑応答が行われます。
今回は、市役所・林野庁・環境省の方の講演です。
上高地は、国立公園です。
その土地は国のものですが、その場所によって環境省であったり林野庁であったりと、様々な機関の管轄が決まっています。
各機関の役割や考え方は様々ですが、基本的には、この美しい自然と学術上価値ある環境を守っていこうとする姿勢は皆共通です。
上高地は、昭和3年に文化財に指定されました。
難しくなりますが、文化財の定義とは
「国民にとって精神的価値又は歴史の重みを伴った事物または事象であって、保護の措置を講じない限り滅失又損壊等の可能性が強いもの」
だそうです。
すなわち、我々人間がある程度、自然を理解し、保護しなければ今ある美しい景観は崩れていきます。
確かに、北アルプスから流れ出る梓川は、青く澄み渡る美しい川です。
しかし、それと同時に山からの大量の土砂も一緒に運んできます。
芥川龍之介が「河童」という小説を書きましたが、その河童が住むモデルの淵は河童橋周辺です。
昔は河童橋周辺には河童が住めそうな淵が存在しましたが、今は、土砂によって河童が住むことなど到底できないほど河床が上がりました。
少しづつですが、上高地は河川の土砂によって埋まってきています。
地球が誕生してから、梓川の河床は500mあがったという研究結果も出ています。
これも、埋まれば埋まったでこれも自然という意見もあります。
だから、人間が手出しをしない方がいいという意見もあります。
しかし、この美しい自然を後世までしっかり残してあげたい。
上高地で育って30年。
歴史の中でいえばほんの一瞬しか上高地を見ていませんが、ここ数年、本当に河原の様子が変わりました。
集中豪雨も多くなりました。
少なからず、温暖化など目に見えない形で人間が影響している結果だと思われます。
その為なら、我々人間が自然を理解し、責任として保護したいと私は思います。
レポート 若旦那